映画「0.5ミリ」/2013年

100円の恋」を観た後、アマプラからサジェストされたのが「0.5ミリ」。どうやら主演の安藤サクラつながりらしい。190分超えの恐ろしい長さの映画で、しかも邦画(あたりまえ)。深夜0時半。観終わったら4時近いっしょ!といいつつ、再生した。

ストーリー等は各種レビューサイトに書いてある通り、偶然とうっかりが重なって無一文になってしまった訪問介護ヘルパーのサワ(安藤サクラ)のロードムービ兼人情ドラマ。

序盤のサワはどう観ても冴えない女なんだけど、旅が始まってから少しずつ皮が剥けるように美しく魅力的になっていく様子がすごい。北島マヤを地でいく俳優さんなんだな、安藤サクラ氏は。ほんとすげえわ。

サワの行く道々、すげえベテラン俳優たちが脇を固めていてそれもまた見どころの一つなんだけども、映画の筋的に一つの事件を思い出さざるを得ない。木嶋佳苗氏の事件だ。

寂しく誰にもまともに相手にされなくなってしまった老齢の男性が、サワに声をかけられて最初は訝しんでいるものの、実にコロッと転がってしまう。サワに会う前には、巨額の投資詐欺に会う間際だった人もいる。それに比べるとサワの目的は遺産ではなく、とりあえずの「衣食住」なのでささやかだ。おまけに、介護職だったので対応の懐が広い。最終的に老年男性たちはそれぞれいるべき場所へ帰っていくのだけど、笑顔で、そしてサワに財産を少し分け与えて帰るのだ。「ありがとう」と。

色々と思うところはあるが、文章にしてしまうと陳腐になるが、人間として生きるって、一体なんなんだろう?と自問せずにはいられない。

血縁のある家族だからって上手くやれるとは限らないし、上手くやれた人には、上手くやれなかった人の根っこのところの気持ちは、おそらくずっと理解できないものと思われる。

196分という長さが全く気にならない素晴らしい作品だった。あと、元々高知に住んでみたい気持ちはあるけれど、舞台になった場所が高知なので、一層住んでみたくなった!

脚本と原作、メガホンをとったのが安藤サクラの実姉というのがすごい。個人的には、本編を通してサワと対比して描かれる「マコト」役の土屋希望が気になるが、その後は地元でペットショップの店長をやっているようなので、俳優としては上手く行かなかったのか。それが残念だ。あと5年この作品が後発だったら、おそらくもっと飛躍していたと思われる。

http://www.05mm.ayapro.ne.jp/index.html

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