豚と軍艦@シネマ

たまには映画レビュー(ちゅーか、感想にも満たないつぶやき)。

豚と軍艦 [DVD]

先日、テレビのドキュメンタリーで放送されたのが記憶に新しい長門裕之氏と南田洋子氏が2人揃って出演している映画。およそ45年ほど前の映画のはずです。

その為、白黒で音も聞き取りづらいところもあったりします。

ストーリーはリンク先をみてもらうこととして、この作品は色々な意味で胸に迫るものがあります。見終わった後の感触は、これまで見た映画の中で2番目にずっしりと心に落ちます。(一番目は「headwig and the angry inch」)

メガホンを取っているのが若干35歳だった今村昌平監督。

・男のバカさ加減に、また男が愛おしくなる
・豚、大行進
・マシンガン乱射のシーンからラストシーンまでの長門裕之氏の迫真の演技
・女の強さ
・体制に向かっていく強さと若さ
・ところどころの喜劇

実を言うと、(ヒットをするような)邦画には深みが足らない気がして、好きじゃないんです。しかし、この作品には、海外の作品のような種類の深さではないけれど、ある時代の日本の現実感が詰まっているように思います。最近の邦画の方が、リアルを感じるはずなのに、どこかそらぞらしい。むしろ、今から半世紀も前に撮られた作品の方がリアルに感じるのは、日本の社会の根底にある豚と軍艦の構図が、(直視していないまでも)いまもなお崩れていないからかもしれない。

こういう作品は、現在では撮れる気がしない。

と、ゆーカタイところはともかくとして、長門氏が演じる主役の小チンピラが、男のバカで(女に言わせるところの)かわいさに溢れているような気がして、ちょっと胸がキュンキュンします。好きな女性に対して、素直になれない、優しい言葉がかけられない、なんていうか、そういう昔風味な男子が良いですね。だからこそ、ヒロインの最後のセリフは私が予想した通りのものだったわけで。なんともはや。

ただ、この手の映画が嫌いな人は嫌い、わからない人はわからない、というタイプの映画だと思う。この時代の邦画(で、裕次郎とは逆方向の作品)を、もう少しみたくなりましたねー。

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